何かお困りですか?
お気軽にお問合せ下さい。

カスタマースポットライト:チューリッヒ工科大学 農業科学研究所 植物栄養グループ、スイス

チューリッヒ工科大学は IsoPrime100を用いて、土壌-植物系におけるリン酸循環を調査しています。

Federica Tamburini博士は、ETH チューリッヒ (スイス) の農業科学研究所の植物栄養グループの技術者/研究者であり、安定同位体施設を管理しています。 Tamburini博士は地質学の博士号を取得しており、土壌リン酸塩の安定同位体を扱うプロジェクトに着手する前は、地球化学者 (海洋堆積物) としての教育を受けてきました。 それ以来彼女は、同位体組成を分析するために土壌や植物抽出物からサンプルを調製するためのプロトコルを最適化する研究を行ってきました。

ETH Zürichロゴ

安定同位体施設のマネージャーとして、Tamburini博士は同位体比質量分析装置をメンテナンスしながら、グループの他のメンバー、彼女自身の研究、および外部の共同研究者のためにサンプリングを行っています。 彼女のグループは CNS と O の固体および液体サンプルを分析するためにElementar から vario PYRO cube® と IsoPrime100 を購入しました。これに先立ち、このグループはETH の地質部門の安定同位体施設でサンプルを分析したり、サンプルを海外へ送ったりしていました。このグループの研究は安定同位体に大きく依存しており、今回の装置導入によってすべての分析をグループ内で行えるようになりました。
 
このグループは、土壌および植物サンプル中の 13C、15N、および 34S を含む多種多様な用途に装置を使用しています。 C と N については、チームは自然存在量と 15N および 13C に富むサンプルの両方を分析します。 最近では、vario LIQUID samplerを用いて土壌水中の 15N と 13C を分析し、根茎沈着の同位体特性を調べる新しい手法を実験しました。これらのサンプルは N と C の濃度が低いため、燃焼炉には直接多量の液体 (80 μl) が注入されます。

Federica Tamburini 博士の研究室にて IsoPrime100 と vario PYRO cube
Federica Tamburini 博士の研究室にて IsoPrime100 と vario PYRO cube

Tamburini博士の関心分野は、土壌植物系におけるリン酸塩循環であり、彼女が好む分析ツールは、リン酸塩中の酸素安定同位体です。 この分析ツールにより、土壌植物系におけるリン循環についてより深く調べることができます。 ここでいうリン酸塩の酸素同位体比の変化は、有機物の酵素加水分解などの生物プロセスによって引き起こされ、それぞれが特定の同位体効果を伴います。 このことは、環境中の P サイクルを理解するのに役立つことが証明されています。特定の条件下では、リン酸塩中の 18O は、環境中の P 源のトレーサーとしても使用できます。
 
リン酸塩分析についてこのグループでは、主にAg3PO4サンプルを分析しており、事前にさまざまな土壌および植物から抽出されたリン酸塩の18O同位体シグネチャを測定しています。 Ag3PO4 サンプル分析は特に困難であるという「ドグマ」が広く知られています。Tamburini博士はAg3PO4 サンプルを生成するための面倒な準備とクリーンアッププロセスに加えてこの分析を実行するのにvario PYRO cube®を使用すれば何の問題もなかったと報告しています。 熱分解されたサンプルへの炭素効率を高めるために、銀カプセルには少量のグラッシーカーボンが追加されます。 システムブランクが小さい事はこの分析にとって重要であり、結果的に、 N2 からの良好な分離とシャープな対称ピーク形状を示す形で、優れたCO クロマトグラフィー分析結果をもたらします。
 
このグループは、グラッシー C 炉を更新することなく、平均して約 4,000 のサンプルを実行します。 通常、実行サイズは約 112 ~ 120 サンプルで、完了するまでに約 20 ~ 22 時間かかります。 Elementarの装置を使えばその優れた感度により、200 ~ 300 µg のサンプルで分析が可能です。 土壌サンプルの調製から生成される Ag3PO4 の量が、リン酸塩がほとんど存在しないサンプルを扱う故にごく少量であることから、チームにとって重要なことでです。このグループはまた、vario PYRO cube® からの O2 元素組成の結果を用いることで、サンプルの純度をチェックします。

 Tamburini博士は、Eleementarについて感銘を受けたことについて次のように述べています。

予算申請時には、さまざまな会社や装置を調査しますが、私が惹かれたのは、vario PYRO キューブの革新的な準備システム、システムのすべてのコンポーネントの簡単な使用方法、さらにはその「モジュール性」でした。 Elementarのスタッフも非常に有能で、他社との大きな差別化要因でした。

またTamburini博士は、ゼロ ブランク サンプル供給システム、燃焼から熱分解へのモード切替の簡便さ、さらに IRMS の精度と信頼性が、この装置が評価される要因だった述べています。さらに、IRMS 測定関連の優位性に加えて、ラボ内でのサンプル調製 (土壌抽出物から Ag3PO4 まで) を最適化する上でこの装置が役立ったと述べています。

ETH ZurichのPlant Nutritionグループについて

Plant Nutritionグループは、ETH Zurichの農業科学研究所の一部です。 植物の栄養、土壌の栄養動態、農業生態系の栄養循環など、複数の分野の研究を行っています。ここでは、作物の様々な栄養源との関連付け、栄養利用のための微生物機能の促進などを目的とした統合栄養管理の開発をサポートしています。

 導入装置    

IsoPrime100 

(legacy instrument, successor: isoprime precisION)
vario PYRO cube® CNSOH elemental analyzer
vario Liquid Sampler for automated liquid injection 

住所

Plant Nutrition 
D-USYS 
ETH Zurich 
Eschikon 33 
8315 Lindau 
Switzerland 

詳細連絡先

Email: federica.tamburini@usys.ethz.ch 

Facility website: www.plantnutrition.ethz.ch

引用

  • Tamburini, F., Bernasconi, S. M., Angert, A., Weiner, T. and Frossard, E. (2010), A method for the analysis of the δ18O of inorganic phosphate extracted from soils with HCl. European Journal of Soil Science, 61: 1025–1032. doi:10.1111/j.1365-2389.2010.01290.x 

  • Oxygen Isotopes Unravel the Role of Microorganisms in Phosphate Cycling in Soils. Federica Tamburini, Verena Pfahler, Else K. Bünemann, Kathi Guelland, Stefano M. Bernasconi, and Emmanuel Frossard. Environmental Science & Technology 2012 46 (11), 5956-5962. DOI: 10.1021/es300311h 

  • Tamburini, F., V. Pfahler, C. von Sperber, E. Frossard, and S. M. Bernasconi. 2014. Oxygen Isotopes for Unraveling Phosphorus Transformations in the Soil–Plant System: A Review. Soil Sci. Soc. Am. J. 78:38-46. doi:10.2136/sssaj2013.05.0186dgs 

 

何かお困りですか?
お気軽にお問合せ下さい。